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プロフィール第3章 母の癌、そして30歳で結婚

プロフィール第3話 母の入院

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こんにちは。

俳優業を挫折した麻子です。

第2章では伯母の店が閉店し

次は銀座の高級カウンターバーに

勤めることになります。

俳優業もCMに合格したり

順調に見えましたが、

ある日突然

自分が俳優ではないことをさとります。

 

 

 

目次

癌の宣告

母が58歳の時

癌がみつかりました。

胸腺癌という、珍しい癌でした。

胸腺(きょうせん)というのは

子供の頃に成長を司る部位だそうです。

医師の話を聞く女性

最初に病院で話を聞いたときは

「このまま放っておけば長くて3カ月だね」

とぶっきらぼうに言われました。

続けて

「癌が動脈を囲むようにあるから

 手術はむずかしいね」

少し考えて

「・・・放射線治療やってみようか」

と言いました。

お願いします、

としか言いようがありませんでした。

最初に担当してくれた先生が

のちに築地癌センターで

放射線科の局長になる人だったとは

本人でさえ思ってもいなかったでしょう。

その先生とは、母が死ぬまで

長い付き合いになるのですが

母は、先生のことを

「ぶっきらぼうなんだけど

 なんか頼りになるのよね−」

と、いつも言っていました。

先生が担当医で本当によかった。

長女の本領発揮

最初は母も、わたし達きょうだいも

相当なショックを受けてました。

当時はまだ、現在のように

「癌は治る病気」

ではありませんでしたから。

身内が、しかも母親が癌だというのは

なかなかのストレス度合いです。

そんなときは、

そうです、長女の本領発揮です。

手を取り合う女性ふたり

「大丈夫だよ、きっと治るよ!」

とワケのわからない勇気づけをして

家で落ち込んで泣くという・・・

自分ごとながら

なんてけなげな・・・と思います(笑)

後で母が

「麻子が大丈夫だっていうから

本当に大丈夫みたいな気になったのよ」

って、笑いながら話していたので

ワケのわからない元気づけも

役に立ったみたいです。

治療は早速はじまりました。

病院は新宿区にある

国立国際医療センターです。

昼は病院、夜は銀座に出勤

という毎日を送るようになりました。

病院に毎日行くのは想像以上に

疲れるのだと初めて知りました。

まず、毎日通うことがないですしね。

しかも癌病棟なので

ご想像の通り・・・空気が重いのです。

そのネガティブなエネルギーに

すっかりやられてしまうのです。

テーブルにコーヒー

銀座に出勤前に

必ずどこかでコーヒーを飲み

クールダウン、

いや、この場合はウォームアップ……

して気持ちを切り替えないと

笑顔で接客するのは

つらいものがありました。

しかし、無理にでもお店に出ることで

気を紛らわしていた

という側面もあったのは事実です。

2カ月にわたる、放射線治療も終わり

やっと退院できることになりました。

だいぶ腫瘍は小さくなりましたが

後でさらにジワジワ効いてくるそうで

結果待ちみたいな待機期間があり、

しばらくのあいだ、待つことに。

車にひかれた私

治療も終わりほっとしたのか

お客さんとの食事に向かう途中

(いわゆる同伴というやつです)

駅前の横断歩道で車にひかれたのです。

ん?横断歩道?

車との接触事故のイメージ

ひかれた、というよりは

当てられた、という方が

正しい表現かもしれません。

たまたま現場を目撃した人が

警察と救急車を呼んでくれて・・・

意識ははっきりしていて

こういう時って

立ち上がっちゃったりするんですね。

でも、スカートが破け、

ブーツのかかとが折れてたんです。

反動で車に頭をぶつけたようで

頭とふくらはぎが痛くて

救急車に乗せられ

その時に、お客さんに

連絡しなきゃと思って。

電話したんです。

「ごめん、私車にひかれちゃったから

 今日食事にいけなくなったー」って。

そりゃビックリしますよね。

お客さんに病院を聞かれたので、

救急車の運転手さんに

「どこの病院に行くんですか?」

って、お笑いですね。

で病院に行き、

CTを撮ったり、色々検査して

「じゃ、今日はお帰り下さい」

って!

帰るんかい?!

ブーツのかかと折れてるし!

スカート破けてるし!

お客さん

病院の受付にキレてもしょうがないので

しかたなく

タクシー拾って帰ろうと病院を出ると、

病院の自動ドア

心配そうな顔したお客さんが……

「あれ?来てくれたの? あ、今日ゴメンねっ」

「……大丈夫なの?」

「うん、今日はもう帰っていいって」

「……おなか空いてないの?」

「あ!空いてるに決まってるー!」

で、壊れたブーツと破れたスカートを着替えて

ご飯を食べに行くことにしました。

「あ!店に連絡しなきゃ!!」

「もう、連絡しといたよ」

「えー!ホントに!?ありがとーーー!」

でもさすがに、ショックというか

普通の状態じゃなかったみたいで

食事中ボーッとしたりしてたみたい。

仲の良いお客さんだったから

気を使わなくてよかったというのも

あったのかもだけど。

じゃ、結婚しようか

翌日は又病院と警察で事情徴収うけに

行かないといけなくて。

「面倒くさいー」

ってブツブツ言ってたら、

「明日、一緒に行ってやるよ」

「ほんと?!」

って、次の日本当に家まで車で迎えに来て

1日、手続きやらなんやら付き合ってくれて。

「一緒にいてくれてありがとう。

 ホントに助かった。心強かった」

って言ったら

ベンチに座る男女の足もと

「じゃ、結婚しようか」

「・・・・へっ?!プロポーズ??」

「悪くないと思うけど・・・」

って、びっくり!!

そのとき、本当に悪くないかもなって

思っちゃったのね。

母の病気だったり、事故だったり

色々ありすぎて、

優しくされてなんか

とっても安心感があったのね。

でも

そんな気が

しただけだったのだけど・・・

で、強行突破で次の週

母に会いにきて。

その次の週は

彼の両親に会いに。

あっという間に結婚することに

なってしまったのです。

そして母の癌は

なんと・・・

綺麗さっぱりなくなっていたのです!

めでたしめでたし。

って、これで終わりじゃないですよー。

まだもう少しありますので

お付き合いくださいませ。

つづいて、第4章

結婚しても銀座で働き続けることを

条件に結婚した私が

なんと新店舗のママに!!

これが波瀾の幕開けに……

第4章も是非ご覧下さい。

も是非ご覧下さい。

 

 

 

 

 

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • お母さんが癌で治療している中で
    毎日通って支えられてたのは
    想像を絶する大変さだったと思います。

    そんな中で
    病院に来てくれて一緒に警察にもついてきてくれた
    お客さんからプロポーズ…

    次のお話でついにママになられるんですね(><)!!

    • さとりんさん!第3章までお読みいただきありがとうございます。
      あの頃は毎日通うことが正義みたいに考えていました。
      あの頃の自分にアドバイスできるなら、もっと自分の時間を大切にしなさいと言いたいくらいです。
      毎日お見舞いに行ったことを後悔しているわけではないですが。
      本当にありがとうございますm(__)m

  • いやぁ~、本当にクルクルと色々な事が起こりますね。
    身内が重い病気になってしまうと、家族に負担がかかります。
    自分が病気を患ったので本当によく分かるのですが、適当なところで休みながら通院とかしないとやってられないですからね。
    家族も相当ストレスだったと思います。

    • スティンガー五郎さん!
      引き続きお読みいただきありがとうございます。
      スティンガーさんもご病気を経験されたのですね。
      一番つらいのはご本人だと思います。でもご家族もかなりのショックを受けることは逃れられないですしね。
      大変な思いをされたのですね・・・元気がどんなに幸せな事が分かりますよね。

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